tomoki478's blog

物流時代

『経営革命の構造』への感想

18世紀後半にイギリスから始まった技術革新はイギリス全体の産業構造を変化しただけでなく、世界にも大きな影響を与える。イギリスの機械制工業の先駆は繊維工業である。繊維工業における紡績機や織機などの発明は自然の力域を出ていない。蒸気機関の出現は自然以外の強大な力を人工的に作り出す。技術の革新はビジネスチャンスとして、事業を展開すれば、ベストです。これは産業革命の重要な一環になる。本の中に、蒸気機関の発明者ジェームズ・ワットと事業家ジョン・ロウバックの結びつけは工業界を変容した。イギリスの技術革新は生産の原動力を機械に変わって、生産能力を大きくアップした。大量生産と大量販売の実現もできる。企業業の規模は拡大した。企業の経営管理、経営組織などの経営構造を変化しなければいけない。18世紀のイギリス事業家ボウルトンは新技術をビジネスチャンスとして、企業規模を拡大した。ただし、経営不振の原因で失敗になった。だから、産業革命は、ただの技術変革だけではなく、経営構造の変革も含まれる。
イギリスの産業革命は確かに経営方面に大きな変化をもたらす。ただし、経営組織の問題また存在するから、経営組織に関する新たな革命が必要であり、それは次なる「アメリカ時代」を向えてくる。アメリカの経営革命はビック・ビジネスと呼ばれる巨大組織である。この巨大組織は従来の組織に対して単に規模が大きくなったということだけでなく、組織や経営のあり方に質的な変更をもたらした。アメリカはイギリスから独立し、未開拓の領土を拡張して多数の移民を受け入れながら急成長を遂げた。しかし、東部、南部、中西部はそれぞれ分離分断されたような状態になる。この三つの地域は一つの市場を形成するのは鉄道と電信の発達である。だから、安価な輸送手段と迅速な情報手段はアメリカのビッグ・ビジネス形成の不可欠な要素になる。アメリカにおける鉄道の発達は、単に国内市場の創出や企業活動の基盤形成を整備したばかりでなく、鉄道会社自身が現代企業の組織モデルを提供したことが重要である。鉄道会社は交通事故の防止は重要な問題になる。当時のアメリカのウェスタン鉄道は交通事故を防止するために、適切な管理の必要性を認識させ組織改革を行った。その後、言いたいのは鉄道の距離問題である。鉄道の距離が長いから操業費が高いというわけではなく、巨大で複雑な運行業務を効率よく運営する内部組織の未発達が経営悪化を招いたのである。事故防止と距離問題から見ると、アメリカにおけるビック・ビジネスの出現は技術と組織を結び付けて、対応する。膨大な資金を必要とした鉄道は、金融事業の発達をもたらす。1850 年代には、ヨーロッパから大量の資金がアメリカの鉄道企業に流入した。ニーズに応えるため、ニューヨーク証券取引所が制度として定着する。鉄道投資を通じて株式市場や金融機関が完成されることができた。このような金融業の発達がアメリカにおける現代企業台頭の基本的条件を整備した。
アメリカの組織改革は規模経済を達成するためである。企業の規模を拡大すると、生産から販売までのプロセスの中に、財の流れを有効的に計画と調整できれば、規模経済の実現できる。企業の規模拡大と同時に単一職能の組織から複雑職能を備えた組織を発展する。デュポン社のアルフレッド・デュポンは二人のまた従兄弟とともに当時の最先端企業の戦略と組織を研究し、成果を経営に導入した。こうしてできあがった組織は複数職能別組織であり、それを管理する必要性から経営にトップマネジメント、ミドルマネジメントの確立をもたらした。
第二次大戦後の日本経済はまさに苦難の時代であった。戦後初の経済白書は「政府も赤字、企業も赤字、家計も赤字」と苦境を記している。金も物資も設備もない時代に官産学が連携し、この克服を試みた。マルクス主義の東大教授、有沢広己の提唱した傾斜生産方式の採用である。これは数少ない資金と資材を鉄鋼や石炭などの重要産業部門に集中させる方式である。鉄鋼が重要産業と指定されたため、西山弥太郎の才能が発揮される土壌が生まれた。西山弥太郎は鉄鋼業の驚異的発展、ひいては高度経済成長の基礎を築いた人物だ。西山は川崎製鉄社長として、当時誰も考えなかった発想と断固たる決断力を持って鉄鋼の大増産に踏み切った。これが戦後日本の国際競争力を高めるきっかけになったのである。オイルショック後、トヨタ生産方式は、トヨタにもともとあったジャスト・イン・タイムと自働化という2つの基本思想を柱に、大野耐一を中心とした人々が製造現場の生産性向上に取り組む中でさまざまな試行錯誤を経て、具現化したものである。この生産方式は、一般に「かんばん」「多能工」「多工程持ち」「省人化」「少人化」「アンドン」などの各手法を組み合わせた生産方法と見なされることが多いが、それは表面的なもので「絶え間ない改善の精神」「改善を行う際のものの見方・考え方」こそがトヨタ生産方式である――と説明されることもある(ものの見方を「トヨタ式」と称することが多くなっている)。実際、トヨタ生産方式の各手法は作りすぎや在庫などの、いわゆる“7つのムダ”を徹底的に排除するための仕掛けだが、トヨタの真の強さはこうした既存の手法に頼り切るのではなく、まだ見つかっていないムダや問題を常に探し続けるというマインドを全社員が持っていることだと指摘される。
第5章は、「シリコンバレーモデルの登場」と題して、現在、世界で進む情報革命とそれに伴う、社会に対してのアプローチの変化について述べている。本によると、現在のコンピュータ・ネットワーク技術の進化とともに、ニーズの多様化によって、市場にどのような規格を出すかはあらかじめ把握できるものではなく、とりあえず、さまざまな商品・サービスを出してみて、その中で事実上の標準を目指すというものとなっているとのことだ。そして、このように「必ず」成功するという保障がなくなったため、従来の資金調達方法では支持できなくなり、そのような中でのベンチャーキャピタルの登場を待っていた。シリコンバレーモデルは、広義の情報産業あるいは知識集約産業でとりわけ有効であることが実証されてきた。また、多数の会社と幅広い連携を特徴とするそのモデルは、それ自体コンピュータ・ネットワーク技術の進化と不可分に結び付けている。
この本は、新技術の導入と、それに伴う社会変革、経営システムの変革について、イギリスの産業革命からはじめて、現在のシリコンバレーまで、21世紀を展望する経営史である。新技術の発明が社会に及ぼす影響について、そして経営システムの変化が技術におよぼす影響について、「技術」と「社会」は、技術をどのように社会に伝えていくのかという「経営システム」を仲介として相互に影響をしあっていると思う。この本を読んでから、イノベーションという概念を深く理解した。イノベーションはただの技術革新だけでなく、本の中に書いた通り(1)新しい製品の導入、(2)新しい生産手段の導入、(3)新しいマーケットの発見、(4)新しい原料や半製品の導入、(5)新しい組織の導入という五つの指標である。この五つの指標はすべて新技術がもたらす影響であると思う。企業に対して、新技術の誕生はビジネスチャンスとして、製品化して、社会に提供する。こうのようなプロセスの中に、販売やマーケティング、資金調達、人材育成、生産手段の導入、組織の変革、経営管理などを考えなければいけない。イノベーションは経済のあらゆる面に生じた変革も可能になる。イギリスの蒸気機関の発明は有力な証拠になる。この本を読むと大変勉強になりました。企業家志望の方はぜひ読んでください。